Seismic retrofit耐震補強をお考えのお客様へ
地震は世界のどの地域でも発生するわけではなく、プレートが潜りこみを起こす地域に集中して発生しています。日本は環太平洋地震帯に位置し、地殻変動が激しく地震活動が活発です。
1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災では、1981年(昭和56年)以前に建築された現行耐震基準に適合しないと考えられる耐震性が不十分な建築物に多くの被害が見られました。国は特に文部科学省は地域の避難場所でもある小中学校の耐震化を進め、耐震化率は2020年(令和2年)で99.4%に達しています。一方、民間の建築物は耐震化はまだまだのようです。
Building耐震性が心配される建物
旧耐震基準の建物(昭和56年(1981年)5月31日以前の建築確認)
この基準は、震度5の地震で「倒壊しない」ことを基準にしています。従って、震度6以上の地震を想定していないと考えられます。震度6以上の地震がおきる可能性が十分にある日本では「倒壊する危険性がある」と言っても過言ではありません。イラスト引用元:一般財団法人耐震総合研究所 http://www.taishin-sri.or.jp
構造上バランスの悪い建物
・平面または断面の形状が不整形な建物
・構造形式が混在する建物(鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造の混在で構成されている建物など)
・細長い形状の建物
・ピロティ形式の建物(1階部分が駐車場などで、壁が少なく主に柱で構成されている建物など)
Refurbishment
耐震改修促進法について
耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)は、阪神大震災の教訓から、1995年12月25日より施行されている法律で、地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための処置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上を図り、公共の福祉の確保に資することを目的としています。
耐震改修促進法における規制対象一覧
用途/ 対象建築物の要件 | 対象建築物の要件 |
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階数3階以上かつ5,000m2以上 | |
ホテル、旅館 | 階数3階以上かつ5,000m2以上 |
百貨店、マーケットその他物品販売業を営む店舗 | |
病院、診療所 | |
集会場、公会堂 | |
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設 | |
博物館、美術館、図書館 | |
劇場、観覧場、映画館、演芸場 | |
展示場 | |
遊技場 | |
公衆浴場 | |
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これに類するもの | |
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これらに類するサービス業を営む店舗 | |
保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物 | |
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を告ャする建築物で旅客の乗降又は待合の用に供するもの | |
自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設 | |
階数2階以上かつ5,000m2以上 | |
老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他これらに類するもの | 階数2階以上かつ5,000m2以上 |
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センター、その他これらに類するもの | |
階数2階以上かつ3,000m2以上 | |
小学校、中学校、中等教育学校の前期課程若しくは特別支援学校 | 階数2階以上かつ3,000m2以上 |
階数2階以上かつ1,500m2以上 | |
幼稚園、保育所 | 階数2階以上かつ1,500m2以上 |
階数1階以上かつ5,000m2以上 | |
体育館(一般公共の用に供されるもの) | 階数1階以上かつ5,000m2以上 |
5,000m2以上かつ敷地境界線から一定距離以内に存する建築物 | |
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 | 5,000m2以上かつ敷地境界線から一定距離以内に存する建築物 |
Flow
耐震診断から耐震改修(補強)までの流れ
新耐震基準(1981年6月)以前に建てられた旧建築基準法による建物(既存不適格建築物という)の中には耐震性能が不足しているものが多数あり、特に1995年に起きた阪神・淡路大震災においては、これらの建物に被害が集中する結果となりました。
旧耐震基準において設計された建物を、現行の新耐震基準と比較して耐震性能がどの程度保持しているかを耐震診断によって明らかにすることで、大地震時に構造躯体の損傷、崩壊等の被害が生じることがないか、人命の安全が確保されているかが判断できます。この耐震診断は、特に旧耐震基準で設計された建築物に対して行われています。
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01予備調査
耐震診断を行う前に、建物の設計図書(一般図・構造図)を確認し、耐震診断の必要性を検討します。また、これらの事をふまえて耐震診断見積書を作成します。
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02耐震診断
次の現地建物調査では、図面との整合性の確認(実測)、目視調査としてひび割れ、変形、老朽化の把握、材質調査として各種試験(コンクリート強度及び中性化試験、鉄筋の超音波探傷試験など)を行います。 これら調査項目は、図面の有無、建物の規模、用途、調査の可否などを考慮し、耐震診断レベル(一次、二次、三次、その他)に応じて診断者が適切に設定し、対象建物の構造形式や規模、これら診断法の特徴などを考慮して決めます。 耐震診断を行った結果、「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性」を判定された場合には、耐震改修(補強)設計を行い、耐震改修(補強)を行う必要があります。
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03改修(耐震補強)設計
業務継続の観点から耐震改修(補強)計画・立案を進める場合、構造体の丈夫さだけでなく、建物の設備や使い勝手(機能)、耐震改修工事の費用、工期など様々なことを考慮して、複数の補強案を検討します。 一般の建物では、現行の建築基準法に従い、中小地震に対しては無被害で機能保持し、震度5強から6弱程度の大地震に対しては被害を軽微~小破程度にとどめ、さらに震度6強から7の強大な地震に対しても建物が倒壊することなく人命を保護することを目標として設定されています。次に改修(補強)工事のための(設計図書)を作成します。この時点で工事費見積りを依頼します。
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04改修(耐震補強)工事
改修(補強)工事では,多くの場合、補強工事のみを単独で行うことは少なく、その他のリニューアルと同時に実施するケースが多いです。これは耐震補強工事の周辺工事(仕上げの撤去、復旧、建物利用者への配慮)との関連や電気や空調、衛生などの設備も更新することで、建築全体の性能向上、さらには建物の付加価値の向上が図れるといったメリットがあります。
Subsidy system
耐震診断等の補助金制度について
耐震診断の補助金制度については主に国の基盤制度に基づき、地方自治体が行っています。
対象となる建物や金額、条件等はそれぞれの自治体によって異なるため、事前に対象となる建築物が所在する自治体の窓口に相談する必要があります。
新潟県や新潟市では、下記のような補助金制度があります。
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新潟県
耐震すまいづくり支援事業昭和56年5月31日以前に建築された耐震性の低い住宅の耐震診断、耐震改修等を促進し、大規模地震発生時における住宅被害を最小限に抑え、県民の生命と財産を守り、公的支出の抑制を目的としています。新潟県内の各市町村で行う耐震関連事業(耐震診断、耐震補強設計、耐震改修工事等)に対して、県がその費用の一部を補助する形で、補助額は各市町村の定める補助要綱の額によります。
新潟県内の各市町村の補助金制度に関する相談窓口及び補助対象等については、以下の一覧表をご参照ください。
※新潟県の相談窓口:新潟県土木部都市局建築住宅課(新潟県耐震改修促進協議会事務局)こちら -
新潟市
木造住宅の耐震関連補助事業 新潟県の耐震すまいづくり支援事業に基づいた補助制度詳しくは、相談窓口の新潟市建築部建築行政課建築行政係にご確認ください。こちら
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新潟市
特定建築物耐震診断補助事業木造住宅だけでなく、不特定多数の方が利用する建築物等のうち大規模なものについては、より一層の耐震化を促進することを目的として、耐震診断・耐震設計・耐震改修工事に係る費用の一部を補助します。 対象となる建築物は、昭和56年3月31日以前に建築された要緊急安全確認大規模建築物として、階数が3階以上かつ延べ面積5,000㎡以上の病院、店舗、旅館等や階数が2階以上かつ延べ面積500㎡以上の保育所、幼稚園等となります。
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新潟市
第一次緊急輸送道路沿道建築物に関する補助制度対象となる建築物は第一次緊急輸送道路の沿道建築物で、建築物の高さが道路幅員の1/2を超えるもの(倒壊した場合に道路の過半を塞ぐ恐れのあるのもの)。但し、道路幅員が12m以下の場合は、建築物の高さが6mを超えるもの。
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新潟市
マンション耐震改修等促進事業補助対象は、①~⑥すべてに該当するマンションとなります。
①昭和56年5月31日以前に建築し、または工事に着手したもの
②鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で地上部分が3階建て以上
③延べ面積が1,000㎡以上
④耐震診断に必要な構造関係の図書があること(図書が無い場合は要相談)
⑤建築基準法に基づく確認済証等の交付を受けたもの
⑥管理組合の総会で補助を受ける事業の実施について決議がなされていること
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